第一回合宿(菅平高原スキー場)



実質、新年度のパープルスキークラブのシーズンインがこの合宿になります。
2010年12月17日(金)から12月19日(日)まで、師走の忙しい中、仕事の効率のよいスキーヤーは合宿の予定をねじ込むのでした。

今回の合宿は、クラブ員12名と武蔵野スキー連盟の他クラブから1名の13名で行動しました。
恒例の第一回合宿ですが、これは東京都スキー連盟が開催するスキー指導員研修会に資格を持つクラブ員が参加するのに合わせています。したがって、クラブ員中の8名が研修会参加者でした。
場所は表記の通り、信州(長野県)は菅平高原スキー場です。

17日夜、4台の自家用車に分乗して、午後11時に関越自動車道 上里サービスエリアに集合します。
そして、オンタイム(高速料金割引のこと)で18日午前0:03に上田・菅平インターチェンジを降り、目的地の菅平スキー場へ、午前1時前に宿の白明館に無事に到着しました。
星空、しし座流星群は見ることが出来ませんでしたが、良い天気です。しかし、外は寒い、さすがに寒冷地の菅平です。
全員集合で軽く乾杯をします。ビールがうまい!スナック菓子も久々でうまい!明日から滑走なので、午前2時頃にはお開きにして就寝しました。

18 日午前7時半に朝食、宿前の天狗ゲレンデに雪がないためリフトでの移動ができず、8時半に自動車にて受付会場の表太郎ゲレンデに向かいます。研修会は参加 人数800人、研修班は49班もあります。班の講師となる専門委員と役員合わせたら、たぶん900名の大所帯だったと思います。
青空に小雪が舞っています。今日はずっと、良い天気なのでしょうか・・・・・。

kenshu kenshu

この900名が同時に行動することは不可能ですので、49班が5グループに分かれて各課題をローテーションでこなします。


研修会のテーマは以下の3つになります。
1.スキーマーケットの拡充
2.自然で楽なスキーのすすめ
3.安全で楽しいスキーのすすめ

ス キーマーケットの拡充、スキーを魅力あるものにし、新しく始めようとする人達、あるいはかつてスキーをしていた人達の復活、そのためにはスキー指導者とそ の組織としての役割を再認識する、すなわち、スキーが上達するこや自然に触れることでの感動や感謝、モチベーションを持った上達段階への導きを提供する、 そしてスキーレジャーとしての活性化を促すことで、様々な意味での社会貢献につなげていくことを最初に挙げています(教育本部のオフィシャルブック内では P.F.ドラッカーのマネジメント論を引用して・・・、ん~流行りね)。

kenshu

実際の研修会では、”自然で楽なスキー”がメインのテーマでした。
こ れは、多くのスキー指導者にとって、イノベーション(改革)と言うべき内容でした。というのも、パープルスキークラブの多くの指導者は、「谷足加重を意識 して!」、「もっと、足首を曲げて!」、「外向外傾(山回りターン中に体を外に向けて傾ける)でバランス取って!」、「内ももを絞るように~」、「両腕を 構えて、体を前傾して~」、などといった体の動きで指導を受けてきましたし、そのように理解していましたが、今回のテーマでは、全くこの逆なのです(「今 までの滑りを否定することではありません」、と何度も聞かされました。)。
確かに昔は、スキーというと外側のスキーを踏ん張ってターンをしていましたから、結構疲れましたし、道具を必要以上の筋力で操作していたのかも知れません。
オ フィシャルブックによると、従来の末端操作によるスキー操作を「筋力系」、そして新しい体幹主導による2軸の身体運動によるスキー操作を「脱力系」と説明 しています。すなわち、従来がプルークボーゲン(ハの字で滑るターン)からシュテムターンを経て(実際にはシュテムターンを洗練させてもパラレルターンに はならないですが)、スキーを平行にするパラレルターンの完成へとスキー指導のステップとして、ターンの山回りと切り替えの連続を意識していたものから、 多少下手であってもスキーの平行操作で”谷回りターンの連続”を意識した滑りの方が、自然で楽なスキー操作が行えるとしています。
さてさて、ここまでの話、専門用語も出てきたのでおさらいです。
下にスキーのターンについて、図解しました(上から下に向かって斜面の傾斜があると思って下さい)。ターンは、山回り、ニュートラル、そして谷回りの3つの場面に分けられます。
山 回りは、体が山側に傾いていて、スキーが山に登るように切れ上がっている段階です。それに対して谷回りは、スキーが最大傾斜線(上から下に向かうライン) を通過して進行方向が変わる段階です。従来は、山回りからスキーのエッジを切り替えて、スキー進行方向の変わる谷回りに移す動作として、一所懸命”山回り と切り替え”を練習したものです。エッジの切り替えをスムーズにするために、ニュートラルな部分をターンの中に意識しています。ニュートラルとは中立ポジ ション、すなわち、この状態から山回りも谷回りも、すぐに行える状態ということです。身体的にも左右の傾きを意識していない状態ともいえます。

kenshu

話を元の”谷回りの連続”である「脱力系」スキーに戻しましょう。
谷回りにおける身体運動として、山回りを短時間で終わらせ、左右の傾きを意識しないニュートラルポジションに持って行きます。スキーの感覚としては、スキーを切れ上げない、スキーの向いている方向に直滑降する感じになります。
2 つ目は、身体運動の段階である”内足(脚)の主導”となります。これは、山回りの時に谷側の足(脚)であるエッジ(角付)を緩めて、斜面に対してフラット な状態を作り出すことを指します。そうすることで、体軸が斜面に対して垂直になります。この時にスキー板の先端が下方(谷側)に徐々に向いていきます。同 時に山側の足の角付も緩みます。
3つ目は、この足(山側だった方)が最大傾斜線を越えるための次の外足となり、谷回りターンを完成させます。これの繰り返し(谷回りの連続)が、パラレルターンの新しい定義になります(スキーが平行でターンすることがパラレルターンではなくなった)。

さぁ、この理論は分かりましたが、滑りで体感できるか、ここが重要なのです。体感できなければ、クラブ員、または生徒さんに教えることが出来ないわけですから。雪上での実技研修では、講師の専門員から要領について講義を受けます。
カギは、「頑張りすぎないスキー」であるそうだ。今までの谷足加重で踏ん張っていたもの、前傾してすねをブーツに押し付けていたこと、切れるターンをするためにエッジを立てて滑っていたこと、これから解放されることが新しいスキー技術を習得するために必要なことだそうだ。

初 日は、体育館でのDVDによる理論の解説、またフィットネスとして”怪我をしない身体を作る”、すなわち”安全で楽しいスキー”を目指すわけです。具体的 には、新しいスキー操作は、「両腕を広げて構え、膝を曲げ内ももを締める、また猫背のような形にはならない」、もっと楽な姿勢(体幹を使ったリラックスし た姿勢)であることが、効率が良いうえに体への負担も少なくなるようです。

初日の午後は、急にガスがかかり、午後3時過ぎには山頂付近では吹雪になっていました。

kenshu  kenshu 

研修後にクラブ員が集まりましたが、あまりにも寒いので、2本滑って宿に向かいました。
暖かい部屋でビールを一缶飲んで、熱めのお風呂に浸かって体を温めます。
白明館の夕食も美味しく、お腹いっぱい食べました。午後8時からクラブのミーティングでしたが、みんな居眠りモード、集まったのは午後10時過ぎでした。そして、仲の良い専門員の訪問もあり、スキー談議に盛り上がりました。

翌19日(日)、朝9時から2日目の研修です。
また、自動車で表太郎ゲレンデに移動して、各班研修です。今日こそは快晴の暖かい天気です。百名山の一つである”根子岳”が真正面に見えます。その奥にも百名山の”四阿山(あずまやさん)”も見えています。
さて、研修では”内足主導による谷回り”をターン弧を変えて実践しました。大回りから小回りと、運動要領は同じです。
今回が初滑りのクラブ員も多かったと思いますが、長年の慣れですね。滑りも好調になってきました。
自然で楽なスキー、本当に楽だなぁ~。まぁ、滑る本数も少ないかも知れませんが、新しい滑りの感じが分かってきました。
いや、実は新しい滑りと言っていますが、このスキー操作って初めてではないスキーヤー(少なくとも我がクラブ員)もいるのでは?
スキーの切り替え動作のトレーニングでこの操作方法を試したことがありますよね・・・。

kenshu  kenshu 

今回の研修会は、お昼で終了、閉会式を行い、ライセンスの更新も無事に終わりました。
さて、今回の合宿は研修会参加者がメインとなってしまいましたが、合宿参加者の他の4人は自主練習をしていました。
詳細が分かれば別途レポートしますが、数え切れないほどリフトに乗り滑走したそうです。

研修会が終われば、待ち合わせ場所の”鈴蘭館”のレストランへ、牛カルビ丼(メガ盛り)が人気でした。
味噌汁と漬物があれば、100点満点です。
また、菅平のお土産と言ったら、”菅平漬(かんぺいづけ)”ですね。あおくび大根のたくわんで、ご飯が美味しく食べられます。

kenshu  kenshu 

第一回合宿、怪我もなく無事にスキーを楽しむことができました。
今シーズンもレベルアップ目指して頑張りましょう。

最後に東京都スキー連盟から子供向けのイベントの案内を添付します。

kenshu


    * 文中のスキー理論の説明はパーフェクトではありませんが、要点は何となくわかってもらえると思います。
       ご意見、アドバイスがあれば掲示板へどうぞ~。


logo



Copyright (C) purple ski club 2010 all rights reserved   2010年パープルスキークラブ inserted by FC2 system